50代になると、家の老朽化や環境の変化から、家を建て替えたいと思いはじめた人は多いでしょう。昔から、3回家を建ててみないと、自分が納得できる家にはならないと言われています。今回の記事では、50代で家を建て替える人に向けて、メリット・デメリットやおすすめの間取りを伝授します。
50代で家を建て替える人の4つの動機
50代は体ではなく、価値観や環境が変化する年齢。50代で建て替えた人は、どんなことがきっかけで家を建て替えたのか。主な動機を5つに分けてお話します。
①子どもが独立・結婚をした
家を建築した当初は、子どもに合わせて間取りを決める人が多いです。しかし、50代になり、子どもが独立したことによって、使わない部屋やスペースができてしまう場合があります。
部屋やスペースをもてあましてしまうと、掃除が大変になり、年齢を重ねると家のメンテナンス問題に発展。その場合は、省スペースの家に建て替えることで解決ができます。
また、子ども結婚したことによって二世帯住宅に建て替える人もいます。お互いの家族が暮らしやすい家にすれば、にぎやかな老後となるでしょう。
②実家を建て替えるきっかけができた
50代になると、親世代が高齢者となる家庭が増えます。親世代が老人ホームに入居したことで、実家に住むことになる人もいます。そうなると、問題となるのが家の老朽化です。
家が老朽化していると、快適な暮らしができにくくなり、安全性も損なわれている場合があります。家を建て替えることによって、最新の住宅技術を取り入れた、快適な家が手に入るでしょう。
③老後にそなえた家にしたいと考えた
老後で大切なのは、バリアフリー化です。50代から先は、自分自身が高齢者となる年齢。若い頃はなんてことなかった段差につまづいてしまう場合があります。
厚生労働省の「人口動態統計(2021年)」では、13,352人が家庭における不慮の事故で亡くなっています。そのなかでも、65歳以上は11,723人と、大きな割合をしめています。
家を建て替えることで、不慮の事故が起きにくい安全な家づくりができます。
④趣味に適した家にしたいと思った
50代になり、自分の好きな趣味に没頭したいと考える人も多いでしょう。しかし、プライベートなスペースがないために、趣味部屋がつくれないという場合があります。
子育てが落ち着いてきた50代になってきたからこそ、自分の時間は大切です。家を建て替えるきっかけになる十分な理由と言えます。
50代で家を建て替える3つのメリット
50代となってから家を建て替えるのは、大きな決断と言えます。しかし、家を建て替えると大きなメリットがあります。50代になったからこそ、環境を変えるチャンスといえます。ここでは、そのメリットを5つ紹介します。
①経験に基づいた家づくりができる
50代で家を建て替えると、生活の不満点を解消しながら家づくりができます。若い頃に家を建てた場合、生活で何が必要なのかは想像にゆだねられます。その結果「家事動線が悪い」「収納スペースが少ない」など、暮らしの不満がどうしても出てきてしまいます。
長年暮らしてきてきた家のことを想像し、家を建て替えることで、これからの人生を快適な家ですごせるようになるでしょう。
②最新技術を取り入れた家を建てられる
50代で家を建て替えるときに大事なのは「耐震性」や「断熱性」などの住宅性能です。住宅性能は、国内外で常に研究がされており、毎年のように新性能をもった設備が開発されています。
例えば、窓の断熱性は、ダブルを超えたトリプルガラス構造のものや、「クリプトンガス」「アルゴンガス」を取り入れた高断熱のものが開発。冷気を徹底的にシャットダウンしてくれます。高断熱の家は、光熱費削減にもつながりますよ。
③バリアフリー化で安全性が高い家にできる
50代より上のシニア世代になったときに役立つのがバリアフリー化。バリアフリーの家は、家を建て替えることで完成すると言っていいでしょう。主なバリアフリー化は、以下のような点になります。
- 部屋間の温度差をなくす
- 小さな段差をなくす
- 車イススペースをつくる
- 転倒防止の手すりを設置する
- 濡れる場所は滑りにくい素材を使用する
- 緊急ブザーを取り付ける
特に、部屋間の温度差によるヒートショック(温度の急激な変化による血圧変動により、目まいや失神などの症状が起きること)は、断熱性が肝です。家を建て替えるときは重視してください。
バリアフリー化は以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
50代で家を建て替えるデメリット
50代で家を建て替えるとき、デメリットを把握していないと後悔する場合があります。自分の環境をよく考えて家を建て替えるようにしましょう。
老後の資金が減る
50代で家を建て替えるときに大切なのが、コスト面をクリアしているかどうかです。家を建て替えるときは、土地の広さによりますが少なくない費用がかかります。
老後の資金を無計画にあててしまうと、大きなトラブルが起きたときに対応できない可能性が上がります。できれば、仕事を引退した年金生活のことを想像しながら資金計画を立ててください。
住宅ローンが組めない場合がある
50代で家を建て替えるのなら、なるべく早く住宅ローンを検討しましょう。例えば、2,500万円で家を建て替える場合、50歳の人が65歳まで(15年間)に変動金利(0.375%)で完済を目指すと、以下のようなシミュレーション結果となります。
- 頭金0円の場合…約14.3万円/月
- 頭金500万円の場合…約11.4万円/月
- 頭金1,000万円の場合…約8.6万円/月
頭金が少ないと、どうしても経済的負担がのしかかってきます。場合によっては住宅ローンが組めないケースもあります。現在の状況をよく考えて、負担が少ないプランを考えてください。
50代で家を建て替えるときに失敗しないコツ
50代で家を建て替えるときに大切なのは老後です。老後の生活に困らないように、失敗しないコツをつかみましょう。
介護がしやすい環境をつくる
50代から老後になると、介護が必要となる可能性があります。そんなとき、介護者が動きやすいスペースがあれば、お互いにストレスのない生活がおくりやすくなります。
主に、以下の点を気をつけて家を建て替えてください。
- 車イスが動きやすい広さにする
- 部屋の扉を引き戸にする
- 寝室にトイレを設置する
- 浴槽の高さを低くする
- トイレ・浴室に介護車が入れるスペースをつくる
コストをおさえようとして、省スペースすぎる家にしてしまうと、介護者に負担がかかってしまうので注意してください。
操作がしやすい設備にする
年齢を重ねると、50代で操作できた設備が受け付けなくなる場合があります。例えば、握力が弱まり、レバーハンドルが操作できなくなるケースや、重い扉を開けられなくなる場合があります。
家を建て替えるときは、おしゃれさよりもユニバーサルデザイン(性別や年令など問わず、どんな人にも対応した設計・設備)であるかどうかを優先してください。
おすすめの設備は電動シャッターです。ワンボタンでシャッターを開閉できるので、力がなくても操作ができます。
50代で家を建て替えるときにおすすめの間取り
50代で家を建て替える人向けに、おすすめの間取りを紹介します。気になった間取りは、設計の参考にしましょう。
夫婦2人で平屋暮らし!オール電化で安全面もグッド|2LDK
老後に上下移動がない平屋を建築した例。シューズクロークやウォークインクローゼットを広く取り入れることで、収納スペース問題を解決。太陽光発電に加え、オール電化にすることで光熱費を削減しながら安全面にも配慮しています。
庭園が美しい平屋!生活スペースを上手に区分け|4LDK
和風庭園と洋風庭園、どちらも取り入れた平屋のお家。生活スペースと、個人スペースを区分けすることで、プライベートゾーンをきっちりと確保しています。キッチンと水回りのアクセスのしやすさが魅力的な、導線が優れた間取りです。
プライベートを確保した独立スペース設計!|二世帯住宅
1階は親世代、2階は子世代の二世帯住宅の間取りです。完全に生活スペースが独立しているので、お互いのプライベートを確保しながら暮らせます。家事動線にも配慮されており、高い快適性にも注目。1階にあるゲストルームのおかげで、親世代側で夜間の来客があっても大丈夫です。
50代以降も後悔のない家を建てよう!
50代はライフスタイルが落ち着く年齢です。家を建て替えるにはぴったりの年代と言えるでしょう。建て替えるときは、バリアフリー化が大切。資金計画をしっかりすれば、家を建て替えた後も落ち着いた老後をおくれますよ。