バリアフリー住宅とは、高齢者や体が不自由な人などが、安全かつ快適に住めるように設計された住宅のことです。バリアフリーの家を建てれば、老後も安心して暮らせます。この記事では、バリアフリー設計が得意なハウスメーカーと、選び方を詳しく紹介します。
バリアフリー住宅に強いハウスメーカーの選び方
バリアフリー住宅は、丁寧な施工が必要となります。オプションやカスタマイズなどを活用するため、融通性も大事です。ここではハウスメーカーを選ぶ際の注意点を解説します。
プランやデザインを確認する
ハウスメーカーの提供するプランやデザインが、理想に合っているかどうかを確認しましょう。間取りや外観、設備などが自分の希望に沿っているかを確認することが大切です。バリアフリー住宅では、以下の点を確認してみてください。
- 内装のデザイン
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内装デザインのスタイルを確認することで、理想の内装デザインを持つハウスメーカーを選べます。内装デザインは住宅の快適性や居住性に関わります。住む人のライフスタイルや、好みに合ったデザインを選びましょう。
- 間取りのプラン
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間取りプランのバリエーションやレイアウトをチェックすることで、自分の希望に合った間取りを作成できます。間取りプランでは、住宅の部屋の配置やサイズ、動線を確認してください。間取りは、住宅の使い勝手や機能性を決めるため、自分の生活動線や家族構成を考えながら決めましょう。
また、ハウスメーカーのオプション・カスタマイズの選択肢も確認することが重要です。拡張性・柔軟性のあるハウスメーカーなら、より希望にそった家を建てられるでしょう。
施工実績をみる
ハウスメーカーの過去の施工実績や評判を調べましょう。過去にどのような住宅を建てたのか自身で確認することで、自分に合ったハウスメーカーなのか判断できます。
確認しておきたい点が、以下の4つとなります。
- 施工実績の規模:過去にどのくらいの住宅を建ててきたのか、一定期間内にどのくらいの実績があるのかをチェック。
- 施工実績の種類:一戸建てや平屋など、自分が希望する住宅の種類と一致しているかも確認。
- 施工実績の品質:過去に建てられた住宅の品質や耐久性を確認(施工実績の写真や、実際に建てられた住宅を見学してみる)
- 施工実績の地域性:自分が建てたい地域における実績があるかどうかを確認(地域の気候や風土に合った建材や設備を組みこめるか)
価格帯で決める
ハウスメーカーの価格や費用体系を比較しましょう。見積もりの詳細やオプション、追加費用などを確認して、自分の予算に合ったプランを選ぶことが重要です。最初の見積もりに、すべての設備が盛り込まれているか確認してください。
- 価格設定
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ハウスメーカーによって、住宅建築の価格設定は違います。一般的に、建物の広さや間取り、仕様やオプションの内容、地域などによって価格は変わってきます。また、ハウスメーカーのブランドやイメージ、実績なども価格に影響することも。複数のハウスメーカーの価格を比較し、自分の予算に合ったハウスメーカーを選ぶことが大切です。
- 費用の詳細
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ハウスメーカーの提供するプランやデザインにかかる費用に加え、それ以外の費用について明確に確認することが大事です。ハウスメーカーによっては建物価格だけでなく、土地の取得費用や諸費用(建築確認申請費用、設計料、工事監理料など)、外構工事費用、内装仕上げ費用、光熱費用などが含まれる場合があります。
- 支払い方法やローン
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ハウスメーカーによっては、支払い方法やローンの取り扱いが異なります。一括払いや分割払い、低金利の住宅ローンなど、自分の経済状況に合った支払い方法を選ぶことが大切です。
- 隠れた費用や追加費用
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ハウスメーカーによっては、建物価格以外にも費用が発生する場合があります。例えば、建物完成後のメンテナンス費用や、維持管理費用、建物の保険料、地盤調査費用などがあります。これらの費用についても事前に確認し、予想外の費用が後から発生しないように注意することが大切です。
- オプションやカスタマイズ費用
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ハウスメーカーの提供するプランにふくまれないオプションやカスタマイズを希望する場合、追加費用が発生することがあります。例をあげると、キッチンやバスルームの設備や内装の変更、外構のカスタマイズなどです。追加の費用は、ハウスメーカーによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
アフターサポートをチェックする
ハウスメーカーのアフターサポートが充実しているか確認しましょう。住宅の完成後にトラブルや不具合があった場合に、きちんと対応してくれるかを確認することが大切です。ハウスメーカーのアフターサポートは以下の点をみておきましょう。
- 保証内容
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保証内容についてはハウスメーカーによって異なるため、具体的に確認しておきましょう。ハウスメーカーによっては「建物の構造」や「設備」に対する保証を提供しているケースも。例えば、基礎や柱などの構造に対する保証や、キッチンやバスルームの設備に対する保証などがあります。
- 保証期間
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基本的に、構造については10年以上、設備については2年以上の保証があることが一般的です。ハウスメーカーによっては、独自の保証期間を設けている場合もあるので要チェックです。
- アフターサポート体制
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ハウスメーカーのアフターサポート体制も確認したいポイントです。例えば、故障やトラブルが発生した場合に迅速に対応してくれるか、専門のスタッフや窓口があるかどうかをチェック。修理や交換にかかる費用や手続きについてのサポートがあるかなどを確認しておくといいでしょう。
ハウスメーカーを比較する
各ハウスメーカーからの相見積もりを比較する際には、施工内容をしっかりと把握することが大切です。提供するプランや仕様、設備などが同じかどうか、施工工程やどんな材料を使用するのかを比較しましょう。
また、ハウスメーカーからの見積もりには、契約条件が含まれています。契約期間や解約料、支払い条件、保証内容などを比較し、各ハウスメーカーの契約条件が自分に合ったものかを確認しましょう。
最終的に選ぶハウスメーカーには、支払い条件などを細かく確認し、後々のトラブルを避けるためにも契約内容を明確にすることが大切です。工事内容や価格、オプションや追加費用、保証内容、契約期間や解約料など、一つひとつ間違いがないかをみてください。
バリアフリーが得意なハウスメーカー7選
バリアフリー住宅が得意なハウスメーカーは、各地に存在します。今回は、全国に展開しているハウスメーカーのなかから、バリアフリー住宅に力を入れている会社を紹介します。
住友林業
- 部屋間やバスルームの段差をなくすデザイン
- 廊下や出入り口を広く設計可能
- ゆるやかな階段
- フットライトの設置
- 視認性を高めた階段の色選定
- 踏みこみ部分をなくした階段を用意
- 持ち変える必要のない連続手すり
- トイレのドアを広く開けられる3枚引き戸
- 上がり下がりしやすい玄関の段差
住友林業は、環境に配慮した設計が得意なハウスメーカーです。最新の設備と設計を活用することで、耐震性を高めています。
柔軟な対応が可能な注文住宅によって、車イスや介護にも配慮されたバリアフリー化を実現。階段は、ゆるやかな15段を基本とし、高齢者になっても2階へ上がりやすくなっています。
セキスイハイム
- 部屋間の段差をなくすフラット設計
- 3階建てなどエレベーター設置が可能
- 階段に転倒・すべり防止をほどこす
- 車いす対応トイレの設置
- お風呂に握りやすい手すりの設置
- 座ったまま浴槽へ移動できるベンチ
- 玄関に靴の脱ぎ履きがしやすいベンチ
- 力の弱い人でも開けやすいドアノブ
- ドアに足はさみ防止カバーを標準装備
セキスイハイムのバリアフリー設計は、床やドアなど、細部まで考えられて設計されています。車イスでも移動がしやすいフラットな床。玄関やバスルームの出入口を広くし、手すりや手すりの高さも適切に配置されます。
ポイントは、視覚や聴覚に障がいを持つ人にも配慮した設計です。例えば、明るい照明や、壁や床を見やすくするための色の選定、音の反響をおさえる工夫などがあります。
ダイワハウス
- 階段のゆとりのある踏み面
- 移動が楽になるゆるやかな階段
- 階段の動作をサポートする広い踊り場
- 車イスでも通りやすい廊下幅
- 玄関スペースの邪魔にならないスライドベンチ
- スイッチを低めの位置に設計可能
- 指はさみを防止する玄関ドア
- 転倒時に便利な手すりやスロープの設置
ダイワハウスは、車イス利用者にやさしい家づくりができるハウスメーカーです。ゆとりのある廊下幅に加え、段差のない暮らしで車イス生活をサポートしてくれます。
自然光を取り入れた、明るい空間をつくりあげることで、手元や足元が確認しやすい家となるでしょう。おすすめのプランは広さのある設計が可能な「xevo(ジーヴォ)シリーズ」です。
積水ハウス
- リビングとウッドデッキをつなぐフルフラットサッシ
- 指をかけやすいデザインをした手すり
- 濡れてもすべりにくい浴室の床
- 乗り越えやすい高さの浴槽
- 力が弱くても動かしやすい浴室ドア
- 指をはさみくい引き戸デザイン
- メートル測定でゆとりのあるスペース設計を可能に
積水ハウスは、高い耐震性をほこる住宅が得意なハウスメーカー。省エネ性能にも優れているので、ランニングコストを抑えたい方にもおすすめです。
障がい者のための住宅を約1,300棟以上も建築した実例があり、豊富なバリアフリー設計のなかから最適なものを選んでくれます。日常生活の快適さを追求したい人に、最適なハウスメーカーといえるでしょう。
ミサワホーム
- 移動がしやすい階段の連続手すり
- 広い踊り場がある階段
- バルコニー手すり物を外へ落下しにくい作りに
- 段差をおさえた玄関
- 車イスでも通りやすい廊下幅
- 段差のない和室
- 浴室入口の段差をおさえる
- 寒暖差を少なくする床暖房(電気式)
- 指のケガを防ぐソフトクロージング機能付きの引戸
- 指のケガをしにくい玄関ドア
- 電動階段昇降機
- 便座昇降装置
- 玄関段差解消機
ミサワホームは、地球環境に配慮した省エネ設計ができるハウスメーカーです。バリアフリー設計の第1段階として全年齢対応の基本バリアフリー機能を、第2段階として年齢や身体能力に応じたものを提案してくれます。
例えば、火災の危険性を減らすキッチンのオール電化、手すりの増設や照明の調節など、細やかなバリアフリー設計が可能。介護を見通したトイレの設置、介助がしやすい広い水回りなどにも対応してくれます。
ヤマダホームズ
- 壁のコーナーに丸みをもたせる
- 段差のない床設計
- 浴室の動きをサポートする手すり
- 階段の手すりを外周に取り付け
- 身体の負担を減らす玄関・トイレの手すり
- フラットなマグネットドアストッパー
ヤマダホームズは、自社開発の住宅を提供することで、コストをおさえたハウスメーカーです。細やかなカスタマイズが可能なので、バリアフリー設計がしやすいのもポイント。
車イス生活になっても移動しやすいように、生活動線を考慮して設計をしてくれます。バリアフリー設計だけでなく、デザイン性も重視して設計してくれるのも特徴です。
タマホーム
- 玄関・階段・浴室・トイレの手すり
- フラットな床
- 段差のない浴室入り口
- 磁力ストッパーによってドアの衝突をおさえる
- 階段の勾配をゆるやかにする
タマホームは、低価格で住居を提供してくれるハウスメーカー。バリアフリー設計ををしつつ、コストをおさえたい方におすすめです。
バリアフリー設計に力を入れている「大安心の家」シリーズは、フラットな床や階段の角度をゆるやかにしてくれる設計にも対応。各種部屋に手すりを設置すれば、快適な家を建てられますよ。
バリアフリー住宅でおすすめの設備4つ
バリアフリー住宅で大事なのは設備です。ここでは、力を入れるべきおすすめの設備を4つ紹介します。
①高気密・高断熱
高気密・高断熱とは、空気の出入りが少なく、熱を逃さない設計のことを指します。建物全体のエネルギー効率が向上するため、快適性がアップします。
- 高気密:高気密とは、住宅の外部と内部の空気が流入することを最小限におさえることを指します。これにより、快適な室温を維持できます。
- 高断熱:高断熱とは、断熱材を適切に配置し、熱の伝導を最小限に抑えることを指します。冷暖房に必要なエネルギーを削減が可能です。
バリアフリー住宅で高気密・高断熱の家を導入すれば、気温差によるトラブルを防げるでしょう。冷暖房効率も上がるので、光熱費削減にもつながります。
②緊急ブザー
緊急ブザーとは、緊急時に部屋の外にいる人や、外部サービスへと連絡するスイッチのことを指します。
緊急ブザーがあれば、住民が火災、医療緊急事態、事故などに直面した際に、速やかに助けを呼ぶことができます。高齢者や身体的な制約のある人々にとって、迅速な対応は重要。
緊急ブザーの導入は、バリアフリー住宅の安全性と快適性を向上させ、住民やその家族に安心感をあたえてくれます。住民の介護の負担軽減にもつながるでしょう。
③フットライト
フットライトは、夜間や暗い場所で床面を照らす役割を果たします。暗所の移動をサポートしてくれるので、転倒やつまずきによるケガ防止になるでしょう。
また、フットライトのやわらかい光は、完全な覚醒を防ぎ、睡眠の質を向上させてくれます。
フットライトは光熱費がかかりにくいので、バリアフリー住宅に導入しやすい設備です。
④引き戸
引き戸は、横にスライドさせて開閉するドアのこと。通常の開閉式のドアと比較して、車イスや歩行補助具を使用する人々にとって使いやすい設備です。
引き戸は開閉時にスペースをとらず、車イスなどにぶつからないので、安全の確保につながります。軽い力で開くタイプを選択すれば、高齢者にとっても快適なバリアフリー住宅になるでしょう。
バリアフリー住宅でおすすめの間取り
バリアフリー住宅では、間取りで気をつけてほしいポイントがあります。各部屋ごとに間取りでおさえてほしいところを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
寝室
寝室をバリアフリー住宅に設計する際はスペースに気をつけましょう。特にベッド周りは車イスを乗降する場所なので、広めのスペースを確保してください。
脱衣所・洗面所
洗面所・脱衣所は、部屋間の温度差をなくすためにリビングに直結するのがおすすめ。廊下に入り口を設ける場合は、洗面所・脱衣所に暖房を導入するとヒートショック対策になります。
リビング(ダイニング)
リビングは家の中心となる場所。寝室や和室から行けるようにすると、利便性が増します。日当たりが良いように、南向きの間取りにすると、太陽光が取り入れやすいです。テレビ周りに収納をつくると、スッキリとした印象になります。
キッチン
キッチンは料理をするときの動線を考えてください。回遊性があるキッチンなら、リビングへの移動が楽になります。
玄関
玄関の段差は最小限にしてください。段差をなくしてフラットにすると、転倒の危険性が減りますが、ゴミやホコリが侵入しやすいので注意してください。傾斜がゆるやかなスロープを設置できれば、車イスの移動が簡単になりますよ。
家をバリアフリー化して住みやすくしよう!
バリアフリー化すれば、老後の暮らしが格段に楽になります。細部に気を配ることで、安心感のある暮らしが手に入ります。ハウスメーカーの力を借りて、快適な住宅に住みましょう!